出雲は、旧い国の名でございます。国の名が、そのまま家の名になったお名前でございます。
その名の起こりには、二つの言い伝えがございます。ひとつは「八雲立つ 出雲八重垣」と詠まれた、日本で最も古いと伝えられる歌にちなむもので、雲の湧き立つ国という意味に解する見方でございます。いまひとつは『出雲国風土記』の説くところで、遠い国から土地を引き寄せ、縫い足して国を作ったという国引きの話から名を説いております。
また出雲には、代々この国を治めた出雲臣(いずものおみ)、すなわち出雲国造(いずものくにのみやつこ)の家がございました。ですから出雲とは、土地の名であると同時に、古い氏の名でもございます。
国の名をそのまま負う姓は、そう多くはございません。伊勢、丹波、近江。いずれも、その国に深いゆかりを持った家が名乗ったものでございます。
どちらの言い伝えであっても、この国の名を負うということが、たいそう重いことであったのは変わりません。
基本文献にもとづく概観でございます。