寒露のころ 菊花開(きくのはなひらく)
神棚がない家でのお札とお守りのまつり方
神棚のないマンションや賃貸でも、お札とお守りは心を込めてまつることができます。神棚についての考え方、お札の置き場所、お守りとの違い、日々のお手入れを、神事を執り行う立場からお伝えします。
この記事の答え
神棚がなくても、祈ることはできます。家の中に祈る場所を求めるなら、祈りの環境が整うという意味で神棚がいちばんのおすすめですが、必須ではありません。神棚がない家では、お札を目線より高く、明るく清潔な場所に白い紙や布を敷いてまつれば、そこが祈りの場になります。お守りは持つ人自身を守っていただくものなので身近に持ち歩き、祈る習慣があれば自然に向かって手を合わせるのもよいと私は考えています。
「お札をいただいたけれど、神棚がなくてどうしたらいいかわからない」「お守りをバッグに入れっぱなしで、なんだか申し訳ない」。神事でお会いする方から、こうしたご相談をとてもよくいただきます。初詣や厄払いのお札を、とりあえず引き出しにしまったまま。お子さんの合格祈願のお守りが、机の上に置きっぱなし。心当たりのある方は多いのではないでしょうか。
まずお伝えしたいのは、そうやって氣にかけている時点で、あなたの心はもう神さまに向いているということです。
01神棚がないと失礼になるのか
マンションで神棚を置く場所がない、賃貸だから壁に棚を取り付けられない。現代の住宅事情を考えると、神棚のないご家庭のほうが多いかもしれません。けれども、神棚がないから神さまに失礼にあたる、ということはありません。
家の中に祈る場所を求めるなら、私は神棚をいちばんにおすすめしています。毎日その前に立つことで、祈る環境が自然と整うからです。ただ、それは祈りに欠かせないものではありません。
一般の家庭に神棚が広まったのは、江戸時代以降と言われています。それより前から、日本人は山や川、大きな岩、木の根元といった自然の中に祈りの場を見いだしてきました。祈る習慣があれば、朝日や山に向かって手を合わせるのも、立派な祈りだと私は考えています。
02お札はどこに置けばよいか
お札は神さまの分身のようなものです。ですから、人が見下ろすような低い場所ではなく、目線より高い位置に置くのが基本になります。タンスや本棚の上でかまいません。白い布、和紙、半紙のどれかを1枚敷いて、その上にお札を立てかけるだけで、おまつりの場として十分に整います。
場所は、できるだけ明るく清潔なところを選んでください。日の光が入るリビングや、家族が集まる部屋が理想です。押し入れの中や暗い物置は避けたほうがよいと思います。方角は南向きか東向きがよいとされていますが、間取りの都合で難しければ、氣にしすぎなくて大丈夫です。「ここなら清々しい」とあなた自身が感じる場所が、いちばんの答えになります。
03お守りはお札と何が違うのか
お守りは、お札とは少し性質が違います。お札は家を守っていただくもの、お守りはあなた自身を守っていただくものです。ですから、お守りはバッグやポーチに入れて、できるだけ身近に持ち歩くのがよいのです。
ただし、バッグの底でくしゃくしゃになっていたり、汚れたところに入れっぱなしになっていたりするのは避けてあげてください。お守り用のポーチを1つ用意して、丁寧に入れておくだけで十分です。持ち歩かないお守りは、お札と同じように目線より高い清潔な場所に置きます。
04日々のお手入れはどうするか
特別なことは要りません。ときどき白い紙や布を取り替え、周りをさっと拭いて、清らかに保つ。お花を一輪添えられれば、なおよいと思います。
大切なのは、形よりも氣にかけ続ける心です。あなたが「大切にしたい」と思う心が、お札やお守りを通して神さまに届いています。そしてそれは、ご先祖様への想いと同じです。特別なことをしなくても、氣にかけている、大切に思っている。その心があれば、どんな場所でも、そこが神聖な場所になります。
もし引き出しの中にしまったままのお札があったら、今日、そっと出してあげてください。棚の上に白い紙を1枚敷いて、お札を立てかける。それだけで、お部屋の氣がふわっと明るくなるのを感じられるはずです。
静かに、手を合わせてみてください。
よくあるおたずね
- 神棚はあったほうがよいのですか。
- 家の中に祈る場所を設けるなら、祈りの環境が整うという意味で、神棚がいちばんのおすすめです。ただ、必須ではありません。お札を清らかな場所にまつることも、自然に向かって手を合わせることも、同じように祈りになります。
- 古いお札やお守りはどうすればいいですか。
- いただいた神社や、近くの神社の古札納所にお返しします。年末年始やどんど焼きの時期に納める方が多いですが、時期を過ぎていても受け付けている神社は多くあります。
- お札を何枚もいただいた場合、重ねて置いてもいいですか。
- できれば横に並べるのがよいですが、場所がなければ重ねてもかまいません。一般には、伊勢神宮の神宮大麻を手前に、氏神さまのお札をその後ろに置くとされています。
この記事のことば
- 神棚(かみだな)
- 家の中で神さまをおまつりするための棚です。この記事では、祈りの環境を整えるためにいちばんおすすめできるもので、ただし祈りに必須ではないものと受け止めています。
- お札(おふだ)
- 神社でいただく、神さまの御神徳を宿した札です。家や場所を守っていただくためにまつります。
- お守り(おまもり)
- 神社でいただく、身につけて持ち歩くための小さな守り袋です。持つ人自身を守っていただくものです。
- 神宮大麻(じんぐうたいま)
- 伊勢神宮の天照大御神のお札です。全国の神社を通して各家庭に頒布されています。
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来年の寒露のころには、この欄に新しい記事が加わります。